現在のような資産デフレ時代では、新築で購入したときに比して、三○パーセントあるいはそれ以上の価格下落が現実となることがある。もし住宅ローンの残債が多く、売却した金額では賄えなくなったときにどうするのか!ということになるのだ。この資産デフレ時代に「資産ロスのリスク」について、しっかりした計算をしておかないと、将来の人生設計に大きな狂いが生じたときに後悔するだろう。頭金ナシでも新しい住宅が簡単に購入できる夢の時代には、むしろ十分な注意と慎重さが必要である。バブル崩壊後、資産ロスと過大な借金で苦しんでいる企業を他山の石としよう。現在の日本人で、着るものがない、食べるものがない、と感じている人はほとんどない。数量的には充足した状態になっている。もちろん、衣と食についても「質」や「好み」の問題から考えれば、各人それぞれに不満や不足感を持つ人もいるだろう。しかし、「衣」についても数量的には十分に所有し、間に一度も着なかった服があるということも珍しくない。また、日本ではエネルギー供給について不安定な状況にあることがいつでも指摘されながら、停電したり、ガソリンの不足で自動車が走れないという経験もほとんどない国になっている。もちろん、エネルギーの専門家から見たら、そんな呑気な見方は間違っているとお叱りを受けるかもしれないが、少なくとも表面上は充足して、日常的にエネルギーが足りないと実感することはない。戦後、長い間、日本では「国土が狭いうえに、山地が多く、人間の住める土地は少なく足りない」という認識をしていた人が多かった。
